睡眠不足ならぬ「睡眠負債」とは何か。わずかな睡眠不足の影響は、まるで借金(負債)のようにじわじわと蓄積されていき、自分でも気がつかないうちに脳のパフォーマンスを低下させてしまう。わが身に覚え有り解る気がする。
睡眠研究の分野では、この「蓄積した睡眠不足」のことを睡眠負債(Sleep Debt)と呼び、対策を講じることが重要といわれている。私たちは、知らず知らずのうちに仕事や家事のパフォーマンスが低下したり、命にかかわる病のリスクが高まることを知っとくが良い。
米ペンシルべニア大学医学部などの研究チームが行った研究は、睡眠時間と脳の働きの関係だ。被験者をさまざまな睡眠時間のグループに分け、経過日数とともに、注意力や集中力がどう変化するかを調べた研究だ。
*「徹夜」したグループでは、初日、2日目と成績が急激に下降した。これは蓄積した疲労などの影響で脳の働きが急激に衰えた。
*「6時間睡眠」のグループでは、徹夜ほどには急激ではないものの、時間がたつにつれ脳の働きが衰えている。
要は、徹夜のグループは強い眠気などを自覚していたのに対し、6時間睡眠グプループの多くは、脳の働きの衰えをそれほど自覚していなかった。極端な睡眠不足と比べ、わずかな睡眠不足が蓄積した「睡眠負債」の場合、その影響をなかなか自覚できないということだと(ちょっと悩み深き結果ではないか…)。
日本人の睡眠時間は、短くなり続けている。というのだが自覚ありか?
国が毎年実施している国民栄養・健康調査によれば、睡眠時間が6時間以下の人は、2008年で3割未満だったが、年々その割合は増え、2015年には約4割に達しているという。なかでも、男性の30代〜50代、女性の40代〜50代はその割合が大きく、さらに睡眠時間が7時間以上の人の減少が続いているようだ。
「日本人の睡眠時間はどんどん短くなって、先進国では最短になっている…知らないうちに睡眠負債を抱えて仕事のパフォーマンスを落としたり、運転中に注意力が低下して事故につながったりしている危険は、無視できないとのご指摘をしっかり受け止めておこう。
とにかく近年では睡眠負債が健康に悪い影響を及ぼすことが分かってきたというお話なのだが、睡眠研究の第一人者として知られる白川修一郎氏(睡眠評価研究機構代表、医学博士)は、睡眠負債は脳のパフォーマンスの低下にとどまらず、さまざまな病のリスクを高めていると警鐘を鳴らしている。
たとえば東北大学が、宮城県の女性2万人以上を7年間追跡し、睡眠時間と乳がんの発症リスクの関係を調べた研究では、平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間寝ている人に比して乳がんのリスクがおよそ1.6倍になることが分かった。
2014年に米シカゴ大学などの研究チームが発表した研究では、マウス実験しているが、睡眠を不足させたマウスは、がん細胞が増殖しやすくなっていることがわかった。さらには、本来ならがん細胞を攻撃するはずの免疫細胞が、睡眠不足の場合、がん細胞の増殖を手助けするような働き方に転じる可能性が見えてきたという。
いずれも注目されているのは、睡眠と免疫システムの関係だ。
厚生労働省は、働き方改革のなかで、「勤務間インターバル制度」(勤務と勤務の間の時間を十分に確保することで、働き手の生活時間や睡眠時間を確保する)の導入を企業に推奨している。これも睡眠負債のメカニズムや影響の研究が進んできたことによるものと思いたい。より多くの人が健康になる「希望の道」になればいいよね。
国や企業、そして社会が個人の睡眠にもっと目を向け、「負債」がたまらない環境を整えることに力を注ぐ必要ありということのようだ。
私は、その辺の論説は十分にありがたい。何しろ睡眠の質が悪いと自覚しているし、いつも睡眠不良な自分を嘆き悲しんでいるのですから。
とにかく自由気ままに眠りたい時には、すーっと眠りの中に入っていきたい。眠気を感じているのに、その瞬時を何らかの都合で睡眠先延ばししてしまうと、もう眠りに入ることはできない。身体は確かに眠りモードになっていて、怠くもあり、きっと歩くとフラフラよたっているのだ。漸く寝床に入っても、頭がジンジンピリピリ冴えわたるという具合。知らない間に眠りに入るのには、2~3時間は要してしまう。 これはしんどいのよね。
さあ皆さん!!睡眠が、私たちを健康に導いてくれるってのは確かになった今、十分な睡眠に醸成される免疫システムを狂わせないように!