“子育て”の窮屈さ(ママのジレンマ)の在り処

最近の話。週刊誌?(新聞?)だったか「……ママたちのジレンマ」という見出しの記事が目に留まりました。本題の主旨は「日本には、社会で育児する という意識がない」…と断じた衝撃的な表示。解決されぬ社会問題と心得て読んだこの記事は、 旧くて新しい昔からの“あるある話”。そして私自身、記事と同じ場面に幾度となく出くわしていますが、不遜ながらママさんの在りようによっては、目にしなきゃよかったと思う場面もあり、ちょっと、おざなりな見つめ方をしてきた後ろめたさを感じたものです。

世の中、経済活動を活発にする景気浮揚策として観光事業が盛んになり、国内外旅行の手続きの簡素化・便数増・セット割企画等々、便利さ盛り盛りの観光施策が多くなりました。「自分の楽しみ世界」観が広くなり、経済感覚というか育児感覚も怖いもの知らずというくらいの「これくらいの事、普通」になっているように思えます。首の座らぬ生まれたばかりの(?)乳児を連れ、国外・国内旅行するはもう不思議でも不謹慎でもない。とにかく乳幼児の身辺用具(離乳食~オムツ~衣類など)は圧縮・ディスポ化して身軽に持ち運びでき簡便になって、旅行の簡便さ利便性は目をみはるばかり。小さい子ども連れ家族旅行は当たり前になっています。

ところが一方で、子育て中のママさん達の日常生活の現実はどうでしょう?まだまだ多くの理不尽で未解決な難題があるという事を理解してますか?という事です。

さて、“子育て中のママのジレンマ”の話に戻せば、大通りや路地の道を行き交う人々の多くは、子どもや大人に限らず、大声で語らいながら歩いたり流れを止めるようにのらりくらりしながら話し込んだり…そして、ゾロゾロとうるさく、時にけたたましい笑い声や甲高い声に、実にうんざりする光景に出くわします。人の往来がスムーズに流れていれば、毎日の事であろうと多少の停滞感を受けいれ(多くは普通に受け容れて)流れに乗じて歩きもするのですが、電車・バスの中(所謂、箱物の中)では、大きな声や笑い声、若者の甲高い声が行き交うと、とどまり知らぬ騒がしさや混雑さ感が増幅し、そこに、大きな荷物や乳母車が加われば、この混雑に何故?との無言の迷惑目線、わざとらしき声で「何でなんだよ」の呟きが痛く突き刺さるものです。常にそのような状況の中を潜り抜けて嫌な思いを経験しているママさん達には、気持ちが打ち萎れてしまうという嫌みな経験になるでしょう。が、これが長くいつまでも解決していないか、解決の目途が経たないままというわけです。そして本題の「ママたちのジレンマ」となっている解決できない難題が、そのままにして長引けば、「日本には、社会で育児するという意識がない」という問題提起になってくるのです。

私自身、残念ながら “わりと日常的にある話”が多くあったので、びっくりしましたが、長く改善されない現代の社会問題(少子化・子育て環境)だという事です。世の中、晩婚化、結婚回避、そして夫婦共働きの増加があれば、少子化するのは、日本だけの現象ではなく世界的に共通している部分も多くあるとは思います。夫々の国が取り組む“社会で育児”の在り方にはいろいろ方策が見えてくるものがあり、そこから知恵を学び、取り組んでいかなければならないのだと思います。そして日本は、核家族の時代から多世帯同居(住宅)へと積極的に取り組んでいくべき問題ではないかと思います。現状は、狭き住居が多く、大きな家や集合住宅は空き家となって朽ちていく状況も多くあるようで、保育園不足や学童保育の環境・設備と人材不足、これらの現状を考えれば、こうした問題が重なり合っているにもかかわらず、解決の動きが見えて来ないという事なのでしょうか?

ジレンマのあるある話の中で、重要な問題だと思う一つに、「混雑した場所でベビーカーを押す、混雑した路線バスや電車に乗車するなど、母親一人で、乳児1人ベビーカー+幼児1人連れ、あるい2人乳児用の乳母車を操作するとなれば、誰しもこれは大きな“ジレンマ”になるのは自明の事で、ママさんの悲壮感・孤立感を思いますし、これってホントに、心が押し潰されそうになります。

勇気を持って、「スミマセンがベビーカー移動を手伝ってください。」「ベビーカーを置くスペースをお願いできませんか?」と声を出しての救助を頂く意思表示をするのは、簡単にできるものではない。社会の理解が、そのように受け容れる雰囲気になってないと、なかなか言い出せるものではありません。現代の社会は、まだまだ寛容な受け入れに至っていないと思われます。ママさんが、児をベビーカーに乗せてマーケットなり保育園などの目的地に行く道程には、人ごみの中を通ったり、電車やバス時間に間に合うようにと急げば、慌ただしく小走り気味に乳母車を押して行くのを見ることがあります。人々に、「すみませ~ん。ありがとうございま~す。申し訳ございませ~ン」頭を下げ声掛けしながら急いで行く…。こういう時のママさんの心情は如何に?悲愴だろうなと…。

多くの子育て中のお母さんたちは、解決され得ぬ「育児の日常生活上の社会的ジレンマ」に、覚悟の日々を過ごされているという事を受け止めなければと思います。

私なりに想い出せば、外出の先々で、何かの所用で、乳幼児2人(または1人)を連れて、電車かバスに乗ってこられた親子・児に出会えば、乳児、幼児の目線を負いながら手を振ったり笑いかけたりをしてみます。当初は無反応、乃至はそっぽを向くのですが、たいていは興味を持つのでしょう。しばらくしてこちらの方に目を向け、目が合えば素早く顔をそむけ…を繰り返し始める(可愛いッたら、ありゃしない)再び応じてアイ・コンタクトすれば、照れくさそうにニタッとして…。やがて三度目の正直、たいていは馴染んできてくれる。知らん顔のお母さんも居るにはいるが、多くはにこやかに頭を下げて下さる。しばしの赤ちゃんとのジェスチャーコンタクト?をすれば、寸時の「私と赤ちゃん・幼児」対話を感じるのです。ママさんのお顔は、大概、嬉しそうで優しそうで穏やかな表情を返して下さると、私はしばしの時間を楽しむことができます。私の子育て社会参加は、まだまだこの程度。ママさんのジレンマの解決に至らないが、「あるある&よくある」ジレンマに、関心を寄せれば、少しずつほぐれてゆく手がかりが得られるのではないかしら?しかも誰もができうる接点を持てて、寸時の繋がりの善き時間ができると思うのです。

社会的問題解決の政治的施策が具体的に打ち出されることを祈り、知恵あれば発信して「ママさん応援隊」に絡んでいくことが大切だと思った次第です。

 

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ノンちゃん

投稿者: ノンちゃん

大阪・住友病院で教育担当副部長を経まして、系列看護学校の副学長を歴任。その後、活躍の場を他の総合病院に移し、看護部長として就任いたしました。現在はワークステーションで登録スタッフの方の相談役として、様々なアドバイスを行なっております。長年の臨床経験・指導経験を元に得た知識を、皆さんにお伝えできればと思います。