こんにちは、コーディネーターの渡邉です。
お盆休み最終日、自宅で読書などしながら台風10号が行き過ぎるのを待ち、外出せずに待機しておりました。
昨年も自然災害が多く、今年もまだまだ台風もこれからが本格的になる時期だと思います。
大きな被害がないことを祈るばかりです。
そんな台風の最中に読んだ書籍「絶唱」はまさに、24年前に起きた阪神大震災がキーワードとなる物語です。
作者の湊かなえさんは、広島の因島出身で、現在は淡路島に住んでおられますが、大学は武庫川女子大学で、震災は西宮市で体験されております。
私も前職で広島県に住み、因島も仕事で度々訪れ、淡路島には親戚がいますので、年に1〜2回は遊びに行き、今は西宮市の武庫川女子大学の近くに住んでいるということで、湊かなえさんには勝手に親近感を覚え、出される本は全て読ませて頂いてます。
もちろん、湊かなえさんの話の構成がホントに大好きで、私の好きな小説家さんベスト3に入るのですが(1位は永久に向田邦子さん、2位が湊かなえさんで、3位が重松清さんです)、この絶唱は、「小説なのかな?湊かなえさんの実体験なのかな?」と、考えさせられる他の湊かなえさんの小説とは少し違うテイストでした。
その中に、阪神大震災のときのことを、「私はそのとき○○にいて〜」と語れるのは、境界線のもっと外側にいた人ばかりという言葉が出てきます。
確かに、今でこそ減りましたが、兵庫県に住んでいると、阪神大震災の話はどこでも話題に出る頃はありました。
私の住んでた地域は、壁もひび割れし、ガラスも割れ、怪我をする人はいたものの、身内や知人に亡くなる人や自宅の全壊などはありませんでした。ただ、本当の被災地、淡路島や神戸市の大きな被害を経験された方が積極的にその話をされることはありません。
境界線の中側、ど真ん中におられると、言葉では語れないしんどさや辛さがおありだったんだと思います。
私自身も、遠隔介護ブログをもう20回書かせていただいてますが、所詮「遠隔介護」であって、自宅で介護をしながら、生活をしているわけではないので、24時間、365日、介護と向き合ってらっしゃる方が、私のこのブログを読まれても、「介護のこと、何もわかってない」と思われると思います。
もし、自分が結婚を決めたときに今の父の状況で、自分が出ていくと父が一人暮らしになる、、という状況なら、結婚して家を離れることが出来たかと考えると、きっと出れていないと思います。かと言って、主人に、うちの実家に一緒に暮らしてもらって、そこから仕事に通ってほしいとはお願いも難しかったでしょうし、きっと結婚を諦めたような気がします。
あの時は末期がんで余命宣告された母に花嫁姿が見せたい、その一心でしたので、今とはまた状況が違います。
そんな事を考えるとこのブログ、これからも書いて大丈夫なんだろうか、、と考えてもしまいますが、このお盆休み、通常なら帰省しない月曜日に実家に帰省し、いつも月曜日に来てくださってる訪問介護のヘルパーさんとお会いできました。
とっても親しみやすく、そして笑顔の素敵な、一目でお人柄が良いとわかる好感のもてる方で、色々お話もお聞きし、お仕事を終えられて父の寝ているベッドまで行き、「また来週きますね〜今日はご家族がこられてていいですね〜」と声をかけてくださると、父は、すかさず手をのばし、ヘルパーさんに手を握ってもらい、「今は楽しいけど帰ったら寂しいから泣くねん」とかわいく訴えてる姿を見て、私が「セクハラやで」と言うと、父も笑ってました。
私がもし嫁に行かずここにいて、父の世話をしながら、仕事も実家から通勤する生活をしていたら、父はこのヘルパーさんにも出会えてないし、今のデイサービスにも行けてないし、お買い物のヘルパーさんとも会えてないし、私自身は今のこのワークステーションにも入社出来てないし、もちろん主人とも生活が出来てない、といういろんな「出会えなかったかもしれないものや人」の存在を思い、今の自分として書けることはこのブログに書いていきたいと、再度思い直すことが出来ました。
もちろんこれから父がもっと体が動かなくなればどうすべきなのか、そこはいつも考えます。
だからこそ、体がまだ動くうちに父にもいろんな人と、いろんな想い出を作ってもらいたいと思います。
娘がつきっきりじゃないからこそ出会える人たち、事柄をめいっぱい楽しんでもらいたいものです。