遠隔介護ブログ(第10回)

コーディネーターの渡邉です。

ようやく風が秋めいてきましたね。
我が家は例年のごとく、いやそれ以上に記念の100回大会ということもあり、夏の全国高校野球選手権大会に夢中になった夏でした。

始まる前と始まってからでは注目の高校も、選手も変わるのが高校野球の魅力でもあります。
どこが勝っても負けても泣けます。
それも魅力です。

オタクと言ってよいほどの野球好きの主人の影響で、わたしも友人たちから見ればオタク域に達していると思いますが、オタク達は、高校野球での有名高校の校歌も歌えてしまうんです。
その中でも私が好きなある高校の校歌のなかに「やればできるは、魔法の合言葉」というフレーズがあります。
ありきたりではあるかもですが、けっこう日々、このフレーズを思い出して励まされることもあるのです。

※ちなみに私はいま、西宮市民ですので、開会式の人文字にも参加しました。

野球といえば、年配の方でも、野球を応援すると、認知症になりにくいと聞いたことがあるのですか、96歳になる祖父も、昔から野球好きで、90歳を超えても野球をうちの主人とテレビで観ながら、インフィールドフライや、犠打、犠牲フライなど、様々なプレイやルールについて質問してました。
好きな野球チームの選手の名前は覚えてましたし、打順や成績も頭に入ってました。

野球だけではなく、きっと、なにか興味を持ち、それについて考え、頭を回転させるというのが、何かしら脳によい影響を与えるのかなぁと思います。

そんな祖父も今は施設や病院を行ったりきたり。

母方の祖母も施設でお世話になってるので月に1回は、どちらもに会いに行くようにはしています。

ただ、私の住む西宮から実家は片道、高速道路を利用しても90分は車でかかります。

平日働いて月に2回ほど土曜もしくは日曜を利用して、往復3時間で実家に帰り、父の一人暮らしの荒れた家を掃除し、買い物やご飯に連れ出し、たまった郵送物を仕分け。
そこそこの割合で、実家の用事の業者さんやお世話になってるケアマネさんと面会し…などをしていると、けっこういっぱいいっぱいで、祖父や祖母に会う時間も正直、5分〜10分が精一杯。

施設では面会室に案内もくださいますが、「すみません、長居できなくて」と断り、玄関先でちょっと話して、施設の方に月々の買い物などに使う小遣いを渡し(もちろん費用のお支払いもしたうえで)、バタバタと帰るという状況。

祖父も祖母も都度、嬉しそうな顔で始まり、寂しそうな顔で見送ってくれます。

いつも切なくなります。

二人共、私の顔がわかるときとわからないときが最近はあります。
わかってるのかわかってないか、こちらの理解が及ばない時もあります。

7月、かなり多忙が続き、実はここ十年、毎月会いに行ってた祖母の施設に行けませんでした。

6月末の土曜と、8月最初の土曜に行ったので、7月行ってないこと、祖母は気づいてないだろうなぁと思っていたのに、私の顔を見るなり、「せんどぶりやな(播州弁。久しぶりやなぁという意味)」と言った祖母。

それが、私とわかって言ってるのか、時々間違う祖母自身の妹のことを思って言ってるのか、面会中も結論は出ませんでしたが…
7月行けてなかった事を申し訳ないと思ってた私は、きっとその事を気づいてるんだろうなぁと、やっぱりちょっと反省しました。

祖父は祖父で、私と主人2人でお盆に会いに行くと、私の顔をまじまじ見てから
主人に、「しんちゃん(私の主人の名前)の、次の嫁か?」と、私のことをさして言いました。
これには私も主人も爆笑で、あとで、弟家族や叔父にも伝えたくらいのインパクトある一言でした。

祖父へも1ヶ月半ぶりくらいになってしまってたし、いつも下してる前髪もあげておでこ出してたのでだとは思いますが、もっと顔見せに行かないといけないなぁと思いました。

生まれてからずっと可愛がってくれた祖父母、自分が今出来るのは顔を見せることだけですが、もちろん私が往復3時間とはいえまだ会いに行ける距離。
もっともっとご実家から遠く離れて生活されてる方も多いと思います。

身内が施設にいたり高齢だとなかなか電話も難しいので、数ヶ月に1回でも、年に1回でもちょっとの時間でもまずは顔を見に行く、お互いの心を元気に保つために。
これってほんとに必要なことですね。

孝行のカタチに、もちろん「ねばならない」はないと思うのですが、
どんな人生であれ、一人で生まれ一人きりで育ったわけではない。
だからこそ、自分がここに生きてる感謝をどう伝えるか、大切なことだなぁと思いました。

先日、山口県の2歳のお子さんが行方不明になったときに、発見されたスーパーボラティアさんが言われていた「ボランティアをしてあげるではない、ボランティアをさせてもらってる」というお言葉、普段の全てのことにその気持ちが大切だとあらためて学ばせていただきました。

孝行というほど、大層なことではないですが、祖父母に会いにいってあげてるではなく、会いたいから行かせてもらってるとその気持ちをもう一度感じたいと。

祖父を担当してくださってる看護師さんや介護職さんは、私が自分の顔をわかってもらえなかったとき、また忘れられたと笑ってると、「本当におじいさんしっかりされてるんですよ」とぼそっとつぶやかれたんです。

いつも笑顔で祖父に面会する主人の顔はわかり、私がわからないというのは、やはり、心のどこかで忙しいなかで会いにきてあげてると思ってしまっていて私の傲慢さが顔に出てしまっていたんだろうなぁと、なので孫だと祖父が認識できなかったんだろうなぁと。。

そんな、「せんどぶり」の一言から、様々な思いをめぐらし、自分の日々の態度を考えなおす良いきっかけとなった、夏のエピソードでした。

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メディカリズム編集部

投稿者: メディカリズム編集部

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